東和マッサージ 中野 の日記
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“脳内GPS”
2015.04.20
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お花見や歓送迎会など、何かとお酒を飲む機会が増えるシーズンだが、かなり泥酔してもちゃんと家に帰ってきた体験を持つ人も少なくないのではないだろうか。また、眠った状態で辺りを徘徊する夢遊病者の多くは、壁や障害物にぶつかって怪我をしたりはしないという。これは一体どうしてなのか? 最新研究でその謎が明らかにされようとしている。 ■「帰巣本能」は“脳内GPS”だった 昨年のノーベル生理学・医学賞はなんともセンセーショナルな“脳内GPS”の発見に与えられたことは記憶に新しい。受賞した神経科学者のジョン・オキーフ氏らの研究では、マウスを使った実験で、脳の細胞のある部分に、まるでGPSのように自分が今どこにいるのか、どこへ向かっているのかを把握し、記録を残す機能があることが解明されたのだ。
具体的には1970年代から行なわれてきた実験で、マウスの脳内には特定の場所にいるときだけ活性化する「場所細胞(Place cell)」と、今まで訪れた場所を六角形で繋ぎ、その中心にいる時に活動する「グリッド細胞(Grid cell)」があることが発見されたのだ。この2つの脳細胞は互いに結びついており、それによりマウスはあたかもGPSの位置情報のように現在自分がいる場所を把握し、それに基づいて進むべき方向を判断しているということだ。 そして、これに似た働きをする脳細胞は人間にもあると報告され、この働きがいわゆる“脳内GPS(内在GPS)”と呼ばれノーベル賞に輝くことになった。泥酔してところどころ記憶が飛んでいながらも(汗)、ちゃんと家に帰ってこれるのは、きっとこの“脳内GPS”のおかげであることがきわめて濃厚になったのだ。 ■睡眠中に脳内地図が“アップデート”される 2年前に行なった実験で、既にマウスの睡眠時の神経細胞の活動が確認されていた。この時の実験を引き合いに出してブザキ教授が立てた仮説は、睡眠時に“脳内地図”を“アップデート”しているというものだ。眠っている間に、今日一日で新たに認識したことや体験した出来事を“脳内地図”に書き加えて最新の状態にすべく“アップデート”を行なっているというのだ。このため、睡眠時でも活発にHDニューロンが活動しているのだという。まさに刻々と変化する道路事情に対応する最新型GPSカーナビのような機能を脳はもともと持っていたことになる。 この研究は、初期のアルツハイマー病にあらわれる方向感覚障害などの治療法をさぐるものとして期待されているが、その過程で様々な実験の可能を秘めているという。たとえば脳への刺激によってまるでリモコンのようにマウスをコントロールしたり、脳の電気信号を読み取ることで事前に行き先を予測したりする研究が考えられているということだ。近い将来、休日に出かけようと思っている場所が脳波測定で簡単にバレてしまったりも……!?