東和マッサージ 中野 の日記
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増える「妊娠糖尿病」 早産、新生児低血糖のリスク
2015.03.02
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◆診断基準が変わる
「正式な糖尿病の定義には当てはまらないが、その一歩手前。妊娠により体重が10キロ増えても症状が出ない人もいる一方で、体質によっては血糖値が上がりやすく妊娠糖尿病になりやすい人もいる」 東京女子医大糖尿病センターの内潟安子センター長はこう指摘する。 妊娠中は胎児に栄養を与えるため、母親の胎盤から出るホルモンの量が増える。血糖値を上げやすいホルモンも量産され、インスリンが効きにくい状態となり、血糖値が上昇しやすくなるのだ。 平成22年には世界共通の基準に合わせて、妊娠糖尿病の診断基準が変わった。 検査は75グラムのブドウ糖の飲用前、飲用1時間、2時間後の血糖を測定する。以前は飲用前の血糖値が、1デシリットルあたり100ミリグラム以上▽1時間後に同180ミリグラム以上▽2時間後に同150ミリグラム以上-の3つの基準のうち、2つ以上が当てはまれば、妊娠糖尿病と診断されていた。新たな基準では飲用前が同92ミリグラム以上▽1時間後に同180ミリグラム以上▽2時間後に同153ミリグラム以上-となった。飲用前の基準が引き下げられ、3つのうち1つでも当てはまれば妊娠糖尿病に該当する。
◆さまざまな悪影響
妊娠糖尿病になると、母体だけなく、胎児へのさまざまな悪影響も懸念される。 早産や尿路感染症、妊娠高血圧症候群、羊水過多症などが代表的な例だ。羊水過多症は胎児への栄養が多くなって小水が増えることで起こる。また、胎児が巨大児になって難産となったり、出生後の赤ちゃんが低血糖を起こす例もある。 母親が肥満、35歳以上、家族に糖尿病歴がある、これまでに巨大児を出産したことがあるといった要素があると、妊娠糖尿病のリスク要因になりやすい。 内潟センター長によると、最近の日本人の食生活や妊婦の高齢化により、妊娠糖尿病になる人は増加傾向にある。もともと血糖値が上がりやすい体質の人が発症することが多く、「将来的な糖尿病リスクが高いことも報告されている」という。 糖尿病になりやすいと考えられる場合は検査を受け、血糖値が高ければ治療をしてから妊娠するのが理想的だ。ただ、妊娠中でも「食事に気をつけたり、軽く運動することで血糖をコントロールできる場合が多い」と内潟センター長。「適切な検査と治療で血糖値を管理していくことが重要」としている。
■食べる順番変えるのも有効
妊娠糖尿病にならない食事の管理について、料理研究家で管理栄養士の関口絢子さんは「ポイントはいかに血糖値を上げないか。バランスの良さは絶対だが、食べる順番を変えるだけでも血糖値の上昇を防げる」と指摘する。例えば、みそ汁や煮物などの副菜を取ってから炭水化物のごはんを食べると、血糖上昇の速度を抑えられる。 糖質が低く、繊維の豊富な食材として「干ししいたけや切り干し大根などを常備しておくといい」とするほか、「タンパク質は植物性と動物性をバランスよく、良質な油も重要だ」と話している。