東和マッサージ 中野 の日記
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「過度な安静」ほど、健康を害するものはない
2015.12.21
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昔から、体調が悪いときには安静が大切と言われてきました。病気やケガをしている人には、「ちょっと休んだら」とか、「ムリしないで」とか、労わりの声をかけたくなるものです。
しかし、本当にその人のことを思うなら、「体を労わってはダメ!」と言ってあげたほうがいい場合もあります。たとえば、その人が「腰痛」を訴えているようなとき。というのも、「腰が痛い」という症状を自覚していても、体には何の異常もないことが多いからです。
■ 「痛い」という記憶の信号がめぐっているだけかも
腰痛を訴える多数の患者に対しMRI検査を行い、原因を調べた研究がありますが、その結果によると、骨や靱帯、筋肉などに何らかの障害が認められたのは、全体のたった15%ほど。あとの85%の人には、何の障害も起きていなかったそうです。
さらに最近の研究からは、「痛い」という記憶の信号が頭の中をめぐっているだけ、というケースが多いこともわかってきました。
突然に生じた腰痛の多くは1週間ほどで自然に治るものですから、あわててないことです。病院へ行くと、レントゲンやMRIの検査のあと痛み止めを処方されますが、薬の副作用で体調を悪化させてしまう人も少なくありません。
腰痛を訴える患者さんを2つのグループに分け、その一方にはしばらく安静にしてもらい、他方には普通に生活をしてもらって治り具合を比べたところ、後者のほうがはるかに早く治ったという研究報告もあります。腰痛は、安静にしているよりも、普通に日常生活を送っているほうが早く治るのです。
では残りの15%の人には、どのような障害が生じているのでしょう。そのうちのひとつが「椎間板ヘルニア」で、いわゆる「ぎっくり腰」です。
ヘルニアとは、臓器の一部が本来あるべき場所から飛び出した状態を指す言葉で、椎間板ヘルニアは、背骨(腰椎)の間にあるクッション(椎間板)が背中のほうに飛び出す症状。背骨の中を通る神経を圧迫するため、その周囲に激しい炎症を起こし、強い痛みが出ます。重症になると、激しい痛みのために動くことができなくなり、救急車で病院に担ぎ込まれる人も少なくありません。
「ぎっくり腰になった」と自己診断している人も多いようですが、「近頃、腰が痛くて」という程度で済んでいる場合、多くは椎間板ヘルニアではないことになります。
ただし障害のない腰痛でも、数日間起き上がれなくなるほどの人もいます。加えて腰痛の原因は実にさまざまですから、あまりに長引く場合は病院での検査が必要です。椎間板ヘルニアの場合も、多くは自然に回復しますが、まれに手術が必要になるケースもあるので、長く痛みが続く場合は精密検査を受けたほうがいいでしょう。
■ 初期症状が治まったら、積極的に動こう
病気やケガをしたあと、養生の仕方で回復にどう差が出てくるかを比べた研究がたくさんあります。それによると、腰痛に限らず、どんな病気も、安静にしているよりも積極的に体を動かしたほうが早く治ることがわかってきました。
もちろん、体を動かせないほど症状が強いときに無理は禁物ですが、初期症状が治まったら、できるだけ早く体を動かすほうがいいのです。
ちょっとした病気やケガをした高齢者が、長期の入院・安静を強いられ、それがきっかけで認知症になってしまった……という話を聞いたことがある方は少なくないでしょう。人間の体は総じて、動き回っているときに初めて健康が保てるようにできているのです。
このように、日常生活で体を動かすことは非常に大切ですが、もう一歩踏み出して、健康増進のための「運動習慣」を身につけてほしいものです。
私の外来を受診された患者さんに運動を勧めると、「家事でくたびれ果てますから」「孫の世話でクタクタ」「犬の散歩をしているので、それで十分」などと言い訳をする人が多いのですが、家事や犬の散歩でくたびれることと、健康のために運動することとは、まったく別物です。
■ これなら長続き! オススメの簡単運動法
では、どんな運動が「健康増進」になるのでしょう? 数々の学術調査が示しているのは、「汗をかき、脈拍数が少し上がるぐらいのきつさが必要」ということです。ぶらぶらと散歩をするだけでは、この条件を満たしませんし、家事や犬の散歩も同じことです。
ジョギングや早足でのウォーキング、水泳などは健康増進の定番ですが、種目は問いません。ダンベル運動も手軽にできるのでお勧めです。ビール瓶や水を入れたペットボトルでもかまいませんが、モチベーションを高めるために、おカネを出して買ってみるのもいいかもしれません。
男性なら5キロぐらい、女性なら2キロぐらいのものから始めるとちょうどいいでしょう。安全で、さまざまな動作を自分で工夫できることがダンベル運動の利点。飽きることなく、長続きしている人が多いようです。
腰痛を治すにはとにかく休養するのがいい? → ×